論理的な思考の邪魔もの!バイアスに打ち勝つには
今日のメニューは何にしようかな~選択肢がいっぱいあって困っちゃう・・・まあいいやいつものこれで。
いつもそれですね。実は、選択肢が多いほど、人は迷ってしまい結局いつものものを選んでしまうというパラドックスがあるんです。
たしかにいつもこのメニューを頼んでしまっている・・・!
これは人の中にあるバイアスというものが影響しています。バイアスがあると人は合理的な判断ができなくなり論理的にものを考えられなくなってしまいます。このバイアスについて今回は考えていきます。
バイアスについて
ストレスを感じたときや焦っているとき、逆に必要以上にプラス思考になっているときは心のバランスが崩れています。
そういうときにいろいろなことを判断、決定していくと後悔する結果につながる可能性が高まります。
この原因となっているのが物事を経験からくる先入観や、偏った見方で判断してしまうバイアスと呼ばれる脳の仕組みです。
「前はこうだったからきっと今回もこうだ」という考えはまさに経験からのバイアスによるものです。
上記の考えは簡単な選択であれば便利に働くものですが、
難しい問題を考える際は、非合理な判断をしてしまうことがあります。
つまり、バイアスは大切な意思決定をする際には、合理的な判断や論理的思考の邪魔をするものになってしまう可能性があるということです。
このバイアスを回避するためには、自分自身の心のバランスが乱れているかどうか判断することが大切です。
マインドフルネスや運動、認知行動療法とかして自己コントロール感を高めるみたいなことですか?
それも大切ですがハードルが高い方には、簡単な方法としてこのバイアスの存在を知ることが大きな対策になります。様々なバイアスがありますが概ね共通する対策といえるのではないでしょうか。
例えば何かの意思決定の際に、「このバイアスにかかっていないか」と振り返ることができれば、合理的な選択に考えを戻すことができるわけです。
以下にこの意思決定に影響するバイアスについて記載していきます。
感情バイアス
感情バイアスとは、不快な事実を認めようとせず肯定的な意見ばかり取り入れようとするバイアスのことです。
例
✔ ホストの彼は他の女性と仲良くするのも仕事だが、本当に大切にされているのは私だけ
✔ 牛乳は体によくないという情報もあるが、飲み続けていて自分は健康だから体にいい
✔ A社に営業をかけると良い印象だった。少し黒い噂もあるが、他を捨ててでもまずはここに営業リソースをかけるほうがいいに決まっている
上記の感情バイアスはさらに怒り・焦り・不安・喜び・甘えなどの各感情が生じているとき、それぞれの特性を持って強い影響を与えます。
これは気分一致効果と呼ばれるもので、上記のように気分の違いによって認知の仕方が変わることをいいます。
受け止め方が変わり、そのことで当然意思決定も影響を受けるわけです。
対策
◆対策
✔ 自分の認知、判断は感情に左右されると自覚すること
✔ ストレスの多い時には大切な選択をしない。
✔ ストレスを味方にする感じ方と考え方を身につける。
上記の気分一致効果のように、人間は感情や衝動には衝動に抗えないということを理解したうえで
客観的な視点を持ちましょう。
具体的には1年後の自分やその意思決定後の自分など、未来の自分から見てこの決断はこれで正しいかどうかという目線で考えてみましょう。
また、意思決定の際は自分に今何かストレスがかかっていないか考えてみましょう。
楽しさや喜びもストレスの一種です。衝動買いなどがよい例ですね。
そういうときはできる限り大切な決断は避けるようにしましょう。
ただ、決断するにあたってノンストレスのタイミングを待ち続けるが難しい時はどうすればよいでしょう
その場合は、各ストレスの影響を意識した決断を行いましょう。
各ストレスの影響を意識した決断の例としては、
気分が良い今は判断基準がゆるくなりがちだから、少し評価を厳しくしようとか、
今はイライラしている分判断基準が厳しくなっているから、この気分でこの前の判断を振り返ってみよう
など、ストレスを味方につけるのも一つです。
上手にストレスを味方につけるためには自分のストレスと感情の動きを理解することが大切です。
そのためにエモーショナルディスクロージャーを試してみましょう。
ストレスと感情の動きを書き出してみることで、自分はどんなことでストレスを感じるのかという感じ方を理解することができるようになります。
日々を過ごす中で、自分がマイナスな感情に陥った際には、気持ち・事象・理由をメモしておきどこかで振り返ってみることでわかるようになります。
スマホの日記アプリかスケジュールアプリにメモしておこう!
プロジェクションバイアス
プロジェクションバイアスとは現在の感情を基軸にして、未来に得られる幸福の量を見積もってしまうことをいいます。
例
✔ 今日も平穏な一日だったから一年後も平穏だろう。
✔ 頑張って勉強しても良い点がとれない。いくらがんばってもどうせ合格できないんだ。
✔ すごくお腹がすいたからいっぱい注文しちゃおう(・・・結局食べ過ぎてしまう)
この結果、必要以上に悲観的、楽観的になったまま意思決定を下し、将来的に後悔する選択をしてしまう可能性があります。
対策
◆対策
✔ 選択するときの状況とそれによって起きる未来の状況をできるだけ近づけて考える
✔ エンタメを自分目線で疑似体験してみる
遠い未来のことは誰にもわかりません。
不確定要素が多すぎて考えることが大雑把になってしまいます。
その分プロジェクションバイアスが大きくかかってくるわけです。
そこで、近い未来の状況を考えて考えることで具体的な予測を立てることができます。
食べすぎの例でいうと、一度にたくさん注文するのではなくて一品ずつオーダーしてお腹の様子をうかがってみるって感じですね!
試験などで仮にE判定だったとして、合格目標がAであればどれくらい頑張っていいのか想像がつかない場合バイアスがかかりますが、
D判定になるようにするや
10点ずつ上げる
という目標であれば、模試の間違った問題を振り返ってみるなど具体的対策を講じれるはずです。
また、調子がいい時でも買って兜の緒をしめよです!!調子のいい時にはこのことわざのとおり、初心を振り返り気を引き締めることでバイアスを避けることができます。
読書やドラマなどのエンタメによって擬似体験することでバイアスを脱する良い対策です。
世の中にはなかなか経験できないことも多いですが、ドラマの主人公などは窮地に立たされることがよくありますよね。
それを疑似体験できれば初めて経験する窮地であってもバイアスを避けた考えを持つことができます。
フィクションはシュミレーターです。
もしも自分だったらという視点で見ていくとバイアスを避けるヒントを得ることができるでしょう。
サンクコストバイアス
サンクコストバイアスとは、すでに支払ったお金や時間などのコストの元を取るため損な取引を続けてしまうバイアスのことです
サンクコスト(埋没費用)とは、すでに支払った費用・労力・時間のうち、今それをやめても戻ってこないもののことを指します。
例
✔ 映画がつまらないとわかってもお金払ってるから見なきゃいけない。
✔ ホストに貢いで行くに連れてこれだけ払ったんだから見返りが欲しい。
✔ この株に投資し続けてきたのだからちょっと下がっても売りには出さないぞ!
サンクコストバイアスに陥ると、支払ったコストは戻ってこないにも関わらず、それに見合う利益を求め続けてしまいます。
そこに、費やすリソースが大きくなる分、リソースを避けない他のことに悪い影響が起こる可能性があります。
また、別の決断に振り切ることでより良い未来が待っているかもしれません。
対策
◆対策
✔ マインドフルネス瞑想を行う
常日頃、頭のなかでは過去の失敗や、未来の不安が飛び交っています。
失敗したあとや嫌なことを思い出すとネガティブな感情が増大していきますよね。
これが普通です。何も考えないことのほうが難しいですよね。
マインドフルネス瞑想とは、過去ではなく今の自分に目を向けることです。
マインドフルネス瞑想についての詳細や方法などはまた紹介するとして、このマインドフルネス瞑想は「今」に集中することでサンクコストバイアスなどの、過去のコストのことをフラットに考えることができるようになります。
サンクコストバイアスは埋没した費用なので冷静に”今”の目線で考えれば、今後続けてリソースを割くべきかどうかの判断はできるはずです。
正常性バイアス
正常性バイアスとは、多少の異常事態が起きてもそれを正常の範囲と捉えて、自分に都合の悪い情報は無視してしまうバイアスのことです。
例
✔ 地震が起きて避難勧告が出たけど、これくらいなら家にいたほうが安全なはずだ
✔ ちょっと得意先を怒らせてしまった。けど、これで取引がなくなるようなことはないだろう。
✔ 浮気したけど、まあばれないだろう
正常性バイアスのせいで、客観的にみたら失敗しそうでも、自分なら大丈夫とか、今回は大丈夫と後悔する選択をしてしまう可能性があります。
災害で逃げ遅れる人は上記のような正常性バイアスに陥ることが多いです。心の平穏を保つために役立つ仕組みではあるのですが、マイナスに働いてしまうこともあるわけです。
そう考えると怖いバイアスですよね。
対策
◆対策
✔ 自分の判断力のなさ、選択力のなさを認める。
人は自分の能力を過大評価してしまう傾向にあります。
特に、能力の低い人のほうが、自分の能力を高く評価しがちである(ダニングクルーガー効果)らしく、今自分は大丈夫だと思っている人は要注意です。
なので、自分は判断力がないということを自覚することが大切です。
認めることが自身の能力を高めるきっかけになるかもしれません。
自覚するテクニックの一つとしてWRAPモデルを用いる方法をご提案しています。
このWRAPモデルを使うことによって、正常性バイアスやダニングクルーガー効果などから離れた視点で選択基準を立てられるようになります。
W:選択肢を広げるについて
選択肢は、するかしないかの二択ではなく、実は他にも選択肢はあるのではと考えてみましょう。
2択は視野を狭め、正常性バイアスや確証バイアスを高めてしまいます。
これに陥らないように選択肢を広げることが大切です。
R:仮説の現実性を確かめるについて
過去の実例をチェックして仮説の現実性を確かめてみましょう。
例えば、商品購入の場合は、星の数などだけで評価せずに、悪い評価などもしっかりとチェックするようにしましょう。
多方面からチェックすることで潜んでいるバイアスに影響されにくくなります。
A:決断の前に距離を置く
いざ決断する前に、瞑想を10分間挟むなど、意思決定を保留する時間を作ってみましょう。
また、誰かに相談されてアドバイスするときなどを仮定して客観的に考えてみるのも良い方法です。
決断前は色々な感情バイアスの影響も考えられますので、冷静になったタイミングで行いましょう。
P:誤りに備えるについて
最悪の結果と最高の結果を想定して選択の結果がどのようになれば満足できるのかをシミュレーションしてみましょう。
最悪と最高を想定することで、視野が広がり合理的な視点で物事を考えることができます。
メモリーバイアス
メモリーバイアスとは、過去の歪められた記憶に基づいて未来の選択をしてしまうバイアスのことです。
例
✔︎ 子供の頃嫌いだった食べ物を大人になって食べてみたら美味しかった
✔︎ 昔の上司に会うと緊張する
✔︎ 人前に立つと失敗して笑われたことを思い出し、手が震える
メモリーバイアスは過去の記憶のせいで、合理的な選択を難しくします。
脳には嫌な記憶ほど定着しやすいので、嫌な記憶がある場所や人に会ったときなどに不安になってしまいます。
関係のないことでも結びつけて未来の選択に影響を及ぼしてしまうのでたちが悪いです。
対策
対策
✔ 過去の最高の体験と最低の体験しか思い出していないのではないかと疑ってみる
このメモリーバイアスは、印象的な強いイベントの記憶によって、他の普通のイベントの記憶を薄くしています。
その場所にいくとネガティブな記憶が思い出されるという場合でも、それはその場所で起きた一つもしくは一部の事象かもしれません。
他にも良い思い出も考えてみたら見つかったり、穏やかに過ごせた時間もあったりするものです。
複数の事象を思い出すことで思い出を平均化し、客観的に見えるようにしていきましょう。
日記をつけるのも予防策になります。
毎日の記憶を箇条書きしていくことで、嫌な記憶や良い記憶、覚えておきたい小さな事柄を
メリット・デメリットを両極端に記憶するだけでなく
小さな記憶を記録しておくことができます。
日記を見ることで、まあまあな記憶も思い返せるので、同じような問題が起きた時に、最高、最低、まあまあそれぞれのサンプルが並べ平均化することができます。
両極端な思い出じゃなくいろいろ思い出して客観視しようということですね。
アンコンシャスバイアス
アンコンシャスバイアスとは、今までの習慣や、周囲の環境から無意識のうちに物事を判断してしまうバイアスのことです。
例
✔ 重い荷物は男性が持った方がいい
✔ お茶やコーヒーは女性が配る方がいい
✔ 派手な格好をした若者が優先席に座っていると不愉快
✔ 悪は滅ぶべきだ
アンコンシャスバイアスは上記のように男性だから女性だから、若いから、老齢だから、正義だから悪だから・・・などという根付いてしまっているバイアスです。
実際、誰にでもあり、だからこそ自分の持っているアンコンシャスバイアスには気付き辛いという問題があります。
最近では、これが相手に発信してしまうと、ハラスメントに影響してくるという問題があります。
男なら仕方ないと思うのに女だと気が利かないと感じたりするのはもちろんのこと
容姿を褒められれば誰もが嬉しいと思っているなども、伝え方によってはアウトですよね。
妊婦さんなんだから、仕事はそこそこでいいからね
という一見優しそうに感じる言葉にも感じ方は人それぞれ。
好意的に感じる人もいれば、私はまだまだ普通に働けると不満に感じる人、嫌味だと感じる人もいるでしょう。
対策
対策
✔ 自分の心の奥底にあるバイアスを認識すること
このアンコンシャスバイアスをなくすのはとても難しいことです。
完璧なゴールがないという問題があります。
女性には紳士的な対応をという想いから、親切にしようとすると女だからってなめるなとか思われるかもしれないですし、
困っている人に手を差し伸べても余計なお世話だと思われることだってあるわけです。
そんなことばかり考えてたら人とコミュニケーションをとれなくなってしまいますね。
ですので、都度都度その人のことを理解して、バイアスに気づくことが大切です。上手く付き合うしかないんです。
どんな言葉を言ってもとらえ方は人それぞれだということを理解しましょう。
確実な解決策かはわかりませんが、Implicit Association Test(IAT)を使って自分の偏見などを理解することはこのバイアスに向き合う一つの方法です。
Implicit Association Test(IAT)とは、心の中にある自分に根付いた考え方を、設問を通して気付く手法です。
以下のジャンルについて各設問があります。
- セクシャリティ
- 人種
- 肌の色
- 年齢
- ジェンダー
- 国家
- 体重
以下リンクよりテストできるので是非お試しください。
テストしてみることで、何かしらのカテゴリーに自分が意識していない偏見があるか知ることができます。
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